倉敷安耶 個展
おまえの骨が軋むとき

倉敷安耶個展「おまえの骨が軋むとき」

2025.02.01 – 2025.02.16

12:00-19:00 月・火・水 休廊

初日2月1日(土)のみ、18:00-21:00の営業となります。

倉敷安耶個展「おまえの骨が軋むとき」

この度、ARTDYNEは2月1日(土)より2月16日(日)まで、倉敷安耶の弊画廊における初めての個展「お前の骨が軋むとき」を開催いたします。

倉敷安耶は1993年兵庫県生まれ、2020年東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。佐藤国際文化育英財団第26期生。クマ財団3期生。21年度VIVA AWARDアソシエイツアーティスト。現在は東京を拠点に活動しています。

倉敷は主に転写技法を用いた平面作品を中心に、儀式的なインスタレーションやパフォーマンスなど複数のメディアを取り扱い、宗教・ジェンダー・生と死・身体等の巨視的な領域から、職業・家族等に至る身近な領域まで、他者との密接なコミュニケーションや共存の模索、あるいは融合などを試みます。

 

〈展示概要〉

食卓とは、最小単位の、一時的な共同体である。誰かと向かい合って食事をするとき、この卓上の距離に我々の関係性は広がっている。食事をするということは食材という他者の死骸を経口摂取し自身の体内に取り入れること。死は肉体を根源とし、生のために我々は他者を肉体に取り込み血肉とし、他者と食卓を共にすることによってエロスの喜びを分かち合う。

ときに葬儀の際、焼かれた骨を皆で取り囲み箸で拾うときに食卓のようだと思った。故人が焼き上がるまで皆で共に食事をして待つ、それはまるで晩餐の儀の中で主菜を待つようである。現に葬送と食事の関係性は深く、多くの場合の葬儀には共食行為や死者に対して供物を捧げるなど食に関する行為が見受けられる。

ジャック・デリダ曰く「喪─何者かが失われたときに、その悲しみの喪失に対処すること─」こそが決して「自分だけで食べないこと」を可能にするという。失われたものを自分の中に受け止め直していくメランコリーなプロセスは、自らのうちに他者を担い、体内化し、受け入れることで「他者と共に食べること(生きること)」を考えることができる。

レヴィ= ストロースの「料理の三角形」によると調理方法は「生のもの」「火を通したもの」「腐敗(= 発酵) させたもの」の主に3 つの状態に分けられるというが、私は葬儀方法も同じ構造を持つと考える。生きている人間を「生」の状態とすると、死んだ人間は大まかには加熱か腐敗によって葬られる。火葬、海葬などの散骨、自然葬など。鳥葬もまた腐敗によって自然に変える形式の一つである。

(ときに恋人たちの晩餐の夜、愛の囁きも前戯も口を発端とする。それはいみじくも心身に他者を摂取する行為である。)他者との繋がりは口先から始まる。 自己の死は他者に死を知覚されることによって、初めて「死」となり得る。

 自分の死さえも他者によって成り立っている。だというのに、その人の死は、その人の死でしかなく、私の肉体はどこまでいっても私だけの肉体でしかなかった。

倉敷安耶

作家略歴

倉敷安耶|Aya Kurashiki

1993 年 兵庫県生まれ。現在、東京と京都を拠点に活動。 

一貫して、肉体という個別の物質、あるいは付属するカテゴライズによって絶対に断絶された孤独な存在のひとつであるという自覚を持ち、他者との距離について制作を行ってきた。自己と他者との関係には様々な軋轢が生じ、孤独な課題を抱えている。  作品はそれ自身が私にとっての信仰であり、断絶されたこの身で他者と関係性を紡ぐ架け橋で、あるいはときに軋轢によって生じた傷を手当てし生き抜くためのケアである。宗教・ジェンダー・死・身体等の巨視的な領域から、職業・家族等に至る身近な領域まで、そこに伴う共同体と、生き抜くため行為であるケアをモチーフにし、転写技法を用いた平面作品を主軸にした他、儀式的なインスタレーションやパフォーマンスなどを用いる。

仏教画の九相図、そのモデルに引用された小野小町、さらには説話と化しイメージが一人歩きしたことによって個人の人格を無視し、押し付けられた罪を背負った点が小町と共通するマグダラのマリアをモチーフとした《九相図》や《互いのための香油塗り》、名画等の女性の身体にアダルト画像をコラージュした《Transition》、箱形の支持体を持つ作品を墓や骨壷に例えた《Grave》《Bury》、祭壇のような食卓のインスタレーション、儀式的な飲食を伴うパフォーマンスなど。

学歴

2016

京都造形芸術大学 美術工芸学科 油画コース 卒業

2018

京都造形芸術大学 大学院修士課程 芸術研究科 ペインティング領域 油画専政(大庭大介ゼミ) 修了

2020

東京藝術大学 大学院修士課程 美術研究科 絵画専攻 油画第1研究室(小林正人研究室) 修了

個展

2024

「Breast」(KUMA GALLERY/東京)

2023

「百夜」SOM GALLERY(東京)
「あなたの髪のひとつ(だった)」haku(京都)
「腐敗した肉、その下の頭蓋骨をなぞる。」銀座蔦屋書店アートウォールギャラリー(東京)

2022

「浅はかなリ、リアルの中でしぜんにかえる。」和田画廊(東京)
「-OUR ART PROJECT- EXHIBITION」BPM(東京)

2021

「そこに詩はない。それは詩ではない。」myheirloom(東京)
「BnA_WALL 3rd Mural A~ya Kurashiki Solo exhibition」BnA_WALL Art Hotel in Tokyo (東京)
「GRAVE」TSUKURU WORK 新宿センタービル店(東京)

2016

「Shadow of 0.2 Lux.」(Cafe&Gallery etw / 京都)

グループ展

2024

「Beautiful Foolishness~遊びをせんとや生まれけむ」藝大アートプラザ(東京)
「PHASE TRANSFER」Alpha Contemporary(東京)
「REUNION」myheirloom(東京)
「NEWoMan YOKOHAMA × The Chain Museum Vol.10 2F Wall Street Museum「Dancing in the Boundary」 -境界の中で踊る-」NEWoMan横浜(神奈川)
「東 京都 展 The Echoes of East Kyoto」WHAT CAFE(東京)
「nine colors XVIII」西武渋谷美術画廊(東京)
「KAIKA TOKYO AWARD」KAIKA Tokyo by THE SHARE HOTELS(東京)
「GROUP SHOW」三越コンテンポラリーギャラリー(東京)
「Expression vol.3」長亭GALLERY(東京)
「DISTANCE -絵画との距離-」MU GALLERY(東京)

2023

「Espace Virtuel」YOD TOKYO(東京)
「ニューミューテーション#5 倉敷安耶・西村涼「もののうつり」」京都芸術センター(京都)
「etoototo」+ ART GALLERY(東京)
「鋳物のマブ」CLUB王族(神奈川)

2022

「The ghost in the room」TENSHADAI(京都)
「Idemitsu Art Award(旧シェル賞)アーティスト・セレクション」国立新美術館(東京)
「SHIBUYA STYLE vol.16」西武渋谷(東京)
「Conversation」HAKU(京都)
「nine colors」西武渋谷(東京)
「エピソードone 次世代アーティスト16人展Vol.1 」阪急うめだ本店9階 アートステージ(大阪)
「(((((,」駒込倉庫(東京)
「THE SELECTED」elephant STUDIO(東京)

2021

「WATOWA ART AWARD」elephant STUDIO(東京)
「ブルーピリオド×ArtSticker」hotel koe(東京)
「SHIBUYA STYLE vol.15」西武渋谷(東京)
「From Intimate Path」Art 369 Space(栃木)

2020

「SHELL ART AWARD・シェル美術賞2020」国立新美術館(東京)
「東京藝術大学大学院 修了展」東京藝術大学 (東京)

2019

「取手アートパスタ2019」東京藝術大学取手校地 (茨城)
「サマータイム9192631770」東京藝術大学(東京)
「outline」Maki Fine Arts(東京)
「Tokyo Independent」東京藝術大学(東京)

2018

「取手アートパス2018」東京藝術大学取手校地(茨城)
「視覚の再配置」SHIN美術館(韓国)
「油画第一研究室展」東京藝術大学(東京)
「京都造形芸術大学大学院 修了展」ギャルリ・オーブ(京都)

2017

「第26 回奨学生美術展」佐藤美術館(東京)
「京都造形大学大学院 芸術研究芸術専政 修士2 年生作品展 SPART2017」ギャルリ・オーブ(京都)

2016

「京都造形大学大学院 芸術研究芸術専政修士1年生作品展 HOP2016」ギャルリ・オーブ(京都)
「movements 2016 2nd movement GOKAN」ART ZONE (京都)
「弘益大学70 周年記念交流展」Hongik Museum of Art(韓国)
「京都造形卒業展覧会2015」京都造形芸術大学 (京都)

2015

「the painting vol.13  the hole.」京都造形芸術大学(京都)
「あさぼらけ」MEDIA SHOP gallery(京都)
「Body・Head・Mind」Gallery CUBE(大阪)

2014

「スウィートヒアアフター “本屋と芸大生”」書肆スウィートヒアアフター(神戸)
「油画の学生どう思う?」京都造形芸術大学(京都)

2013

「UN LOCKS」京都造形芸術大学(京都)
「SINGS」3F Project Room(京都)

アートフェア

2024

「ART FAIR ASIA FUKUOKA」福岡国際センター(福岡)
「HANKYU ART FAIR」阪急梅田ホール(大阪)
「Art Fair Philippines 」The Link, Ayala Center(フィリピン)
「Xavier Art Fest」 Fr. Rafael Cortina S.J. Sports Center, Xavier School(マニラ, フィリピン)

2023

「ART MARKET TENNOZ」WHAT CAFE(東京)
「3331 Galleries ART SHOW」-「3331によって、アートは『』に変化した」3331アーツ千代田(東京)

2022

「GINZA COLLECTOR’S CLUB」銀座蔦屋書店アトリウム(東京)
「ART STAGE OSAKA」堂島リバーフォーラム(大阪)
「ARTISTS’ FAIR KYOTO」京都新聞社(京都)

プロジェクト

2022

「藝食人」 HOUSE SHINE(東京)

2021

「Intimate Path」art369project(栃木)

レジデンス

2021

「MURAL」paradise air(千葉)

賞、助成等

2016–2017年度

公益財団法人佐藤国際文化育英財団 第26期奨学生

2017年度

浅田彰賞「SPART 2017」

2019年度

公益財団法人クマ財団 第3期奨学生

2020

入選「シェル美術賞2020」

2021

公益財団法人クマ財団 継続的な活動支援事業
アソシエイツアーティスト「VIVA AWARD」
グランプリ受賞「WATOWA ART AWARD」

2022

公益財団法人クマ財団 継続的な活動支援事業

2024

秋元雄史賞「KAIKA TOKYO AWARD」

 

 

その他、アートプロジェクト、ワークショップ等参加多数。

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