荒木萌花 個展
ノイズの傍らに
荒木萌花個展「ノイズの傍らに」
2026.04.29 – 2026.05.10
12:00-19:00 会期中無休
「陰、火照る」 2026 606×727mm Oil on canvas
ARTDYNEではこのたび、荒木萌花による初個展「ノイズの傍らに」を開催いたします。
荒木萌花は1999年東京都生まれ。2025年に武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻油絵コースを修了し、現在は東京を拠点に制作・発表を行っています。
荒木の絵画は、一見すると風景や人物の気配を宿しながらも、その輪郭を確定させません。厚く塗り重ねられた油絵具は、像を描き出すための手段であると同時に、それ自体が強い存在感を持つ「物」として画面に留まり続けます。作品は決して雄弁ではないにもかかわらず、そこには確かな気配が宿り、時間の層のように静かに沈殿しています。見る者は、像を読み取ろうとする視線と、絵具そのものに引き戻される感覚のあいだを往復することになります。
荒木の絵画においては、「何が描かれているか」以上に、「像がどのように立ち現れ、移ろい続けるか」という過程そのものが重視されています。絵具は塗り重ねられ、形態は揺らぎ、再び置かれる。その反復の中で、画面には可視と不可視の境界が生まれ、見る者の知覚は絶えず更新されていきます。そこに立ち上がるのは、記憶の残像のようでもあり、いまだ言葉にならない感覚の断片のようでもあります。
本展では、荒木の制作に通底する「生成と消失」の往還が、より明確なかたちで提示されます。厚みを持った絵具の層は、単なる物質としての存在を超え、イメージが生まれる以前の混沌とした場を想起させます。同時に、その表層にかすかに浮かび上がる形態は、私たちが世界を認識する際の不確かさや、視覚の曖昧さを静かに示唆します。像が確定する直前の緊張と、消失の余韻。そのあわいに身を置くことで、荒木の絵画は、見るという行為そのものを問い直します。
本展は、荒木萌花にとって初の個展となります。視覚の手前で揺らぎ続けるイメージと、物質としての絵画の豊かさを、ぜひ会場にてご体感ください。
アーティスト・ステートメント
常日頃、のたうちまわっている思考が、ふと目の前の景色とリンクして「凪」になるときがあります。
その「凪」は、やがて日常のなかで輪郭を溶かし、残り香のように漂いはじめると私はひとり、アトリエという小瓶のなかへと向かいます。
少し厚みのあるガラスを隔てると外の景色も、自身の姿も、互いにふわりと歪んで見えます。
その曖昧さに安心する私は、目まぐるしい思考と凪いた心を一筆ずつ、あるいは一針ずつ、「彩」で縫い合わせます。
そうして出来上がったものを纏うことで、私はようやく人と関わること——小瓶の外の世界と向き合うことができるのです。
荒木萌花
荒木萌花|Moeka Araki
1999年
東京都生まれ
2023年
武蔵野美術大学造形学部油絵学科油画専攻 卒業
2025年
武蔵野美術大学 大学院造形研究科修士課程 美術専攻油絵コース 修了
主な展示
2025年
グループ展『春のあしおと展II』鈴画廊/東京
グループ展『現れの形象ll』ARTDYNE/東京
グループ展『冬の風景展III』鈴画廊/東京
2024年
グループ展『春のあしおと展』鈴画廊/東京
2023年
グループ展『RED展』鈴画廊 /東京
受賞
2024年
アートオリンピア 入選
