土井沙織個展
春と稀人
土井沙織個展「春と稀人」
2026.04.04 – 2026.04.26
12:00-19:00 月・火・水 休廊
「マスター」2026 年 72.0×60.0 ㎝ パネルに寒冷紗 石膏 水干 弁柄 ピグメント
呪ひ手放せば稀人に気づくべし。
稀人は生類に限らず、定まれる姿にあらず。善きに限らず、禍々しき姿もまたあり。
春は呪ひ放つ佳き折なり。
稀人迎へて、かかるもの手に入るべし。
土井沙織
この度、ARTDYNEでは、土井沙織個展「春と稀人」を開催いたします。
土井沙織は愛知県に生まれ、神奈川、東京で育ち、2010年に東北芸術工科大学大学院芸術文化専攻日本画領域を修了。現在は山形を拠点に制作を行い、絵画を中心に立体、壁画、インスタレーションなど多様な表現を横断しながら、国内外で発表を続けています。
土井の作品は、現代において希薄になりつつある土俗的な感覚や、民俗的想像力の領域を、絵画という形式のなかに呼び戻す試みとして捉えることができます。木製パネルに寒冷紗を張り、石膏で塗り固めた支持体に、岩絵具や顔料、弁柄、水干を幾層にも重ねていくその手法は、画面に強い物質性をもたらすと同時に、触覚的な記憶を喚起します。そのざらついた表層は、単なるマチエールにとどまらず、時間の堆積や風土の痕跡を孕んだ「地層」のようにも見えてきます。
制作の過程において、イメージはあらかじめ定められた構図に従うのではなく、幾度もの修正と反復を経て変容していきます。そこには、思考と身体、意図と偶然がせめぎ合う、きわめて有機的な生成のプロセスが存在しています。こうして立ち現れる像は、動物や人間、植物といった具体的な形をとりながらも、どこか名付けがたく、神話や伝承の断片を思わせる気配を帯びています。
本展タイトルにある「稀人」は、外部から訪れ、共同体に祝福や災厄をもたらす存在として、古くから民俗的想像力の中に位置づけられてきました。一方で「春」は、生命の再生と更新の季節であると同時に、内と外、此岸と彼岸の境界がゆるやかに揺らぐ時間でもあります。土井の作品において描かれる存在たちは、そうした境界の揺らぎのなかで現れ、私たちの知覚の外縁に立ち上がります。そこに見出されるのは、単なるモチーフの再現ではなく、生と死、自然と人間、可視と不可視といった二項を横断する力の気配です。土井は、それらを説明することなく、しかし確かにそこに在るものとして提示します。そのとき絵画は、イメージの表象であると同時に、何かを呼び寄せる場として機能し始めるのかもしれません。
本展では新作を中心に立体も含めた十数点の作品を発表いたします。土井沙織の作品に宿る、古代から現代へ開かれた感覚の在処を、この機会にぜひご高覧ください。
土井沙織|Saori Doi
愛知県に生まれる。神奈川、東京に育ち、現在山形在住。
2010 年 東北芸術工科大学院芸術文化専攻日本画領域修了 作品大学買い上げ
主な個展
2025
個展 アートフェア「Art Central 2025」(MEDEL GALLERY SHU/香港)
個展「遠くに狼煙が見えにけり」(S3 Gallery TOKYO/東京)
個展 アートフェア「Osaka International Art 2025」(MEDEL GALLERY SHU/大阪)
個展「えいえんのにわ」(恵埜画廊/山形)
個展「本日の祈り」(靖山画廊/東京)
2024
個展「EQUAL」(MEDEL GALLERY SHU/東京)
個展 アートフェア「JINGART 芸覧北京2024」(MJK Gallery/北京SKP-S/北京)
個展「MOTHER’S HAND」(ARTDYNE/東京)
2023
個展「project N92 土井沙織」(東京オペラシティアートギャラリー/東京)
2022
個展「魔女見習いの夜」(ARTDYNE/東京)
個展「門は開かれたり」(THE LOOP GALLERY/東京)
2021
個展「Carpe diem」(恵埜画廊/山形)
2018
壁画制作(MISSION PARKOUR PARK TOKYO/東京)
2017
個展「されど美しき日々」(蔵丘洞画廊/京都)
2016
個展「カーテンのむこう」(ギャラリーかわにし/愛媛)
個展「トロイ」(GALLERY HIRAWATA/神奈川)
個展「13月の庭」(国指定重要文化財丙申堂・無量光苑釈迦堂/山形)
2015
個展「GARDEN」(ギャラリー和田/東京)
個展「カーテンの奥」(蔵丘洞画廊/京都
2014
個展「わたしのイコン」(蔵丘洞画廊/京都)
土井チャンのDOKI DOKIアニマルぬりえ(鶴岡まちなかキネマ/山形)
2013
個展「アニマルパレード」(寒河江市美術館/山形)
山王アートキャンパス|個展・壁画制作(鶴岡まちなかキネマ/山形, ’14, ‘15)
2010
個展(GALLERY HIRAWATA/神奈川)
主なグループ展
2026
「新春 絵画・工芸展 2024」(恵埜画廊/山形、’22、’23、’24、’25)
2025
「META」(神奈川県民ホールギャラリー/神奈川、’21、’23)
「To a bright future the three of us花房沙也香+土井沙織+浅野友理子」(ギャラリー尾形/福岡)
「風が吹けば草木がささやくー身体・自然・不可視のものとの共鳴」(MJK Gallery/武漢SKP-S/武漢)
「クレパス誕生100周年 近代巨匠から現代作家までのクレパス画展」(日南町美術館/鳥取)
ART FAIR ASIA FUKUOKA 2025(ギャラリー尾形/福岡)
2024
「カンヴァスの同伴者たち」高橋龍太郎コレクション展(山形美術館/山形)
「新鋭日本画 野桜会展」(恵埜画廊/山形、’20、’22)
2023
台北當代(南港展覧館/台北)
2022
ART NAGOYA 2022 (ARTDYNE/名古屋観光ホテル/名古屋)
「WHAT CAFE EXHIBITION-MA (間) -」(WHAT CAFE/東京)
「IN THE LOOP」(THE LOOP GALLERY/東京)
2021
土井沙織×土田翔「絕対-zet-tai-」(UNPEL GALLERY/東京)
「田中望 | 土井沙織 二人展 地誌学的幻想と直接的現前性」(G.ART FIELD/東京)
FACE展2021[読売新聞社賞] (SOMPO美術館/東京)
2020
東北芸術工科大学卒業・修了展|東京展(東京都美術館/東京)《TOHOKU CALLING“鹿遂う者は山を見ず”》出品
第5回星乃珈琲店絵画コンテスト[佳作]
FACE展2020(損保ジャパン日本興亜美術館/東京)
2019
「土井沙織×秋庭麻里」 (数寄和ギャラリー/東京)
「TOHOKU CALLING」(佐藤美術館/東京)
シェル美術賞展2019(国立新美術館/東京、’17
「たいせつなもの展-Ah/Un-」(靖山画廊/東京
2018
新日本画研究会(大丸東京店/東京)
第3回新日本画研究会(松坂屋名古屋店/名古屋)
2017
現代作家が描くクレパス画展(サクラアートミュージアム/大阪、日南町美術館/鳥取、Gallery5610/東京)
VOCA展2017(上野の森美術館/東京)
「第2回金魚展」(ギャラリー和田/東京)
2016
アートフェア東京 2016(蔵丘洞画廊/東京国際フォーラム/東京)
第2回新日本画研究会(松坂屋/愛知)
2015
ひじおりの灯プロジェクト|燈籠制作(肘折温泉/山形、’14)
2014
第2回美術新人賞デビュー展[準グランプリ](ギャラリー和田/東京)
「やまのかなた-土井沙織×牧野広大」 (真下慶治記念美術館/山形)
土井チャンのDOKI DOKIアニマルぬりえ(鶴岡まちなかキネマ/山形)
2013
空想美術大賞展(伊藤忠青山アートスクエア/東京)
第19回三菱商事アート・ゲート・プログラム
「わたしのおまもり 土井沙織×牧野広大」(ギャラリーMIMIQUE/山形)
2012
「東北、うごめく鼓動」(gallery COEXIST-TOKYO/東京)
「東北画は可能か?」(ニュートロン東京/東京)
第8回菅楯彦大賞展(倉吉博物館/鳥取)
2011
釜山国際アートフェア(韓国)
2010
東北芸術工科大学卒業・修了制作展|大学院修了[作品大学買い上げ]
「roots/東北画は可能か?」(アートスペース羅針盤/東京)
IWAKI ARTトリエンナーレ2010「やる気」(いわき市街/福島)
新現美術協会第60回記念展招待(仙台メディアテーク/仙台)
2009
第27回上野の森美術館大賞展(上野の森美術館/東京、‘10)
2008
東北芸術工科大学卒業・修了制作展[卒業制作優秀賞](山形)
第11回野桜会展[奨励賞](天童市美術館/山形 )
第4回トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展(豊橋市美術博物館/愛知)
他、展示多数
パブリックコレクション
日南町美術館(鳥取)、ダコタ州立大学(U.S.A.)、[壁画]鶴岡まちなかキネマ(山形)、[壁画]MISSION PARKOUR PARK TOKYO(東京)、東北芸術工科大学(山形)、蟹仙洞(山形)、高橋龍太郎コレクション(東京)、UESHIMA MUSEUM COLLECTION(東京)
