奥山晴日 写真展
‐ Unseen -

奥山晴日写真展「Unseen」

2026.03.06 – 2026.03.29

12:00-19:00 月・火・水 休廊

奥山晴日写真展「Unseen」

この度ARTDYNEでは、奥山晴日写真展「Unseen」を2026年3月6日(金)から3月29日(日)の期間、開催いたします。

奥山晴日は、1983年東京生まれ。現在は奈良を拠点に古美術、工芸、建築などの撮影の傍ら、作品としての写真制作を行っています。

奧山は信仰の対象として守られてきた神域と、私たちが日常的に往来する通常の場所との境界、いわゆる「結界」に焦点を合わせ、そのあわいに立ち現れる空間そのものをとらえようと試みています。

神域とは、本来、人の立ち入りを拒むことでその力を保持してきた場所です。信仰や畏怖、沈黙によって守られ、可視性よりも不可視性によって成立してきた空間です。奥山はそうした神域の内部に踏み込むのではなく、その視点は常に境界線上、すなわち「こちら側」と「向こう側」が接触しながらも決して重ならない地点に置かれています。

奥山の写真に現れるのは、森の木々、道、山の稜線など、一見何の変哲もない風景です。しかし、それらが結界とともに提示されるとき、単なる風景ではなくなります。人が踏み込むことを許されない領域の存在が空間に緊張を与え、可視的な要素に不可視の力をまとわせます。ここで写されているのは、神そのものでも、聖性の象徴でもありません。むしろ奥山が捉えているのは、結界がそこに存在するという事実によって、風景が変質するプロセスそのものです。

奥山の作品は、出来事や物語性を意図的に排した、徹底して抑制された表現によって構成されています。その沈黙に近い静けさは、見る者に説明しがたい緊張と安堵を同時に呼び起こし、日常の中で無自覚にやり過ごしてきた境界の存在を可視化します。

写真というメディアは、本来、目に見えるものを記録する技術です。しかし奥山の試みは、神域という不可視の概念、すなわち信仰や制度、共同体の合意によってのみ成立する領域を、風景のレベルで立ち上げるものです。現実の風景のうちに、決して写り込むことのない領域を想起させる点において、奥山の写真作品は記録を超えた「もの」として、明確にコンセプチュアルな性格を帯びています。

「Unseen」というタイトルのもと、本展は見えないものを直接示すのではなく、見えなさがいかに風景を規定しているのかを問いかけます。私たちは、何を畏れ、何を不可視のまま受け入れ、どのような境界の上に日常を成立させているのか。奥山晴日の東京初の展示となる本展をご高覧いただければ幸いです。

 

アーティスト・ステートメント

私は、日本の風景の中に点在する結界を前に、カメラを構える。

ファインダーを覗き込むと、古代の人々の感覚が、時を越えて静かに浮かび上がってくる。

そこには、長い年月をかけて守られてきた、目には見えない自然に対する信仰のあり方が、写し取られた風景の奥に、ひそやかに息づいていた。

奥山晴日

 

作家略歴

奧山晴日|Okuyama Haruhi

1983年 東京生まれ。
現在、奈良に拠点を構え、古美術、工芸、建築などの撮影の傍ら、写真制作を行う。

主な展示

2025

「ARTOSAKA2025」Wa. Gallery/大阪市中央公会堂/大阪

2024

「finder展 2」Okuyama Haruhi photo studio/奈良

2023

「finder展 1」Okuyama Haruhi photo studio/奈良

主なクライアントワーク

2024

書籍 「うつわ」石村由起子

2023

書籍 「古道具もの語り」坂田和實

2022

書籍 「手としての布 – 私たちのタオル -」つちや織物所

2018

写真集 「忘草 東京」花人 杉謙太郎

2013

写真集 「わすれくさ as it is」花人 杉謙太郎